【トクサ科】 トクサ属 : スギナ・イヌドクサ
トクサと言うと水生植物とか湿生植物という印象が強いが、意外に乾いた場所に群れる場合がある。2015年6月の多摩川の自然を守る会の月例観察会は、久々に河口方面で、左岸の空港敷地沿岸部で行われたが、京急の天空橋駅(上り側)入口に近い空港敷地の中に、大きな石畳みのような場所の隙間からあちこちで噴き出すように群れていた。近くに交番があるところで、そう湿気た場所とは思われなかったが、何故かこのイヌドクサが大繁殖していて驚いた。
京急の鉄橋下は適度に湿気て、昔から変わった植物種が見られることで、知る人ぞ知る場所だったが、3.11以後、ご多聞に漏れず橋脚の耐震補強工事が行われ、全域が整地されて工事後は乾燥した地面と変わらず、堤防側の道脇に辛うじて命脈を保ったホソイやミコシガヤを除くと、全てのものが消滅してしまった。
然し2015年ともなるとかなり湿気を取り戻した環境となり、一部にタコノアシが見られたりしたが、未だ水溜りが残るほどの湿地環境となる場所は生まれておらず、セイタカアワダチソウなどが全域で優勢となっている。そんな中、堤防に寄った方の一画にこのイヌドクサの群集が見られた。
花は同じトクサ科のスギナの花によく似て、茎の先端に緑色の胞子嚢穂を付けるが、やがてツクシと同じような茶褐色に変わっていく。