<参考26>  河川敷の春から初夏にかけての草木と花


     【トクサ科】  トクサ属 : スギナ・イヌドクサ

 



 


 
左の写真は2015年に京急の鉄橋下で撮った。上の4枚は5月26日、下の2枚は6月7日である。
京急の鉄橋下は適度に湿気て、昔から変わった植物種が見られることで、知る人ぞ知る場所だったが、3.11以後、ご多聞に漏れず橋脚の耐震補強工事が行われ、全域が整地されて工事後は乾燥した地面と変わらず、堤防側の道脇に辛うじて命脈を保ったホソイやミコシガヤを除くと、全てのものが消滅してしまった。
然し2015年ともなるとかなり湿気を取り戻した環境となり、一部にタコノアシが見られたりしたが、未だ水溜りが残るほどの湿地環境となる場所は生まれておらず、セイタカアワダチソウなどが全域で優勢となっている。そんな中、堤防に寄った方の一画にこのイヌドクサの群集が見られた。

イヌドクサはトクサに似た常緑の多年生シダ植物で、トクサより細く、下の方で分枝して伸び上がっている場合もあるとされる。トクサは枝分かれしないので、分枝の有無が双方の識別点だと書かれているものが多い。
花は同じトクサ科のスギナの花によく似て、茎の先端に緑色の胞子嚢穂を付けるが、やがてツクシと同じような茶褐色に変わっていく。



この道は堤防側にあるゴルフの打ちっ放し場の裏手(水路沿い)にある、薄暗い散策路を通る度に、その道中となるので、頻繁に見ているが、一度だけ生え際を見てみようと思って掻き分けて見てみた。根は全部繋がっていると思うが、見掛け上は5本程度が株立ちしているような感じで、茎の枝分かれは確認できなかった。

トクサと言うと水生植物とか湿生植物という印象が強いが、意外に乾いた場所に群れる場合がある。2015年6月の多摩川の自然を守る会の月例観察会は、久々に河口方面で、左岸の空港敷地沿岸部で行われたが、京急の天空橋駅(上り側)入口に近い空港敷地の中に、大きな石畳みのような場所の隙間からあちこちで噴き出すように群れていた。近くに交番があるところで、そう湿気た場所とは思われなかったが、何故かこのイヌドクサが大繁殖していて驚いた。


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