<参考26>  汽水域で春から夏にかけて見られる草木の花


春から初夏にかけての河川敷(高水敷一般、低水護岸の周囲から堤防敷一帯までの全域含む)の植物を、花に重点を置いて写真付きで紹介する。この特集で植物を撮影した対象範囲は多摩川緑地から六郷橋緑地の区間を中心とした近辺、即ち左岸の多摩川大橋から下手に向かい六郷の橋梁群を過ぎ六郷水門あたりまでを重点区間とし、この間で見られないものについて、範囲をより広げ、ガス橋の下手から大師橋緑地の半ばに及ぶまでの間を補足範囲とした。撮影時期は主として2013年から2016年の4年間である。(一部にはこれより古い時期の写真を使用している個所もある。)
この特集のコンセプトは「川に出たら目に入る草木の花を紹介する」ということで、この界隈で一般的に見られるものを重点的に取上げ、少数派ながら特徴的に見られるものを補足した。必ずしも野生種に限定した訳ではなく、近隣の花壇から逃げ出してきて定着している園芸種起原のものも取上げ、更に大田区が緑地に植樹した木本や、住民が恣意的に植えたと思われるものの中からも、既に定着し川の顔になっていると見做されるものについては [参考] として取上げているケースがある。
(この特集ページで取上げたものが、この時期に見られる多種多様な花のほんの一部に過ぎないことは言うまでもない。尚、この特集ページの続編として、夏から秋にかけて見られる草木の花については、<参考36>として別に特集ページを設けているので、年後半の季節の花については、そちらを見てほしい。)

この特集は2013年に大幅に改編し、その後も小幅な改編を続けている。川の植物を取り上げたページを作ったのは2003年だったが、初版から10年経った時点で、植生が当時とはかなり変わった。そこで2013年の春から夏に掛けて再調査を行って、この注釈ページの内容を全面的に改編増補することにした。(対象範囲は上手はガス橋まで拡大し、下手も大師橋緑地まで拡大した。2013年に撮り漏らした種の花については、2014年〜2016年に精力的に撮影して追加補充を行った。対象範囲は広義には広く汽水域ということで、僅かではあるが右岸側の中瀬や殿町、また左岸側の丸子橋近辺や羽田空港沿岸部までも扱ったものがある。)
花の季節が春に始まるものでも、果実や種子まで追いかけたものでは、夏から秋に掛けての様子はこのページで扱い載せている。人為的に植えられたことが明瞭であるようなものは原則として含めていないが(一部のものは種名の後に「参考」の文字を付して掲載)、園芸種起源ながら既に高水敷で野生化して見られるような種は含め、かつて見られたが現状では殆ど消滅してしまったと思われるような希少種も、古い写真を参考として取上げ掲載しているものがある。
(花を中心に据えているので、春に青々していても夏から秋に開花する種は [参考36] の方に載せ、そのような種では、春の様子もそちらで同時に扱うようにしてある。)

 
アオイ科 (タチアオイ)
アカネ科 (ヤエムグラ・ヘクソカズラ)
アカバナ科 (ユウゲショウ・コマツヨイグサ・ヒルザキツキミソウ)
アブラナ科−1 (ハマダイコン・ムラサキハナナ・アブラナ・セイヨウカラシナ)
アブラナ科−2 (ミチタネツケバナ・タネツケバナ・ナズナ・キバナスズシロ)
アブラナ科−3 (カキネガラシ・イヌガラシ・スカシタゴボウ・オランダガラシ)
アヤメ科 (キショウブ・ニワゼキショウ・オオニワゼキショウ)
イグサ科 (イグサ・ホソイ・クサイ)
イネ科−1 (ネズミムギ・ホソムギ・カラスミムギ・イヌムギ・ヒゲナガスズメノチャヒキ)
イネ科−2 (ハルガヤ・セイバンモロコシ)
イネ科−3 (クサヨシ・カモジグサ・チガヤ)
イネ科−4 (コバンソウ・ヒメコバンソウ・ヒエガエリ)
オオバコ科 (ヘラオオバコ)
オトギリソウ科 (コゴメバオトギリ)
カタバミ科 (カタバミ・イモカタバミ・ムラサキカタバミ)
カヤツリグサ科−1 (シオクグ・ヤワラスゲ・アゼナルコ・ミコシガヤ)
カヤツリグサ科−2 (メリケンガヤツリ・フトイ・サンカクイ)
カヤツリグサ科−3 (コウキヤガラ・イセウキヤガラ)
キク科−1 (セイヨウタンポポ・ノゲシ・ハチジョウナ)
キク科−2 (ハハコグサ・ウラジロチチコグサ・チチコグサモドキ)
キク科−3 (イワニガナ・オオジシバリ・アラゲハンゴウソウ・ハルシャギク・オオキンケイギク)
キク科−4 (ハルシオン・ヒメジョオン・ノボロギク・アメリカオニアザミ・カモミール)
キンポウゲ科 (キツネノボタン)
クマツヅラ科 (アレチハナガサ・ヤナギハナガサ)
ケシ科 (クサノオウ・ナガミヒナゲシ・アイスランドポピー・ヒナゲシ)
ゴマノハグサ科−1 (オオイヌノフグリ・タチイヌノフグリ・ムシクサ・オオカワヂシャ)
ゴマノハグサ科−2 (サギゴケ・マツバウンラン・ツタバウンラン・フサフジウツギ)
シソ科−1 (ヒメオドリコソウ・ホトケノザ・カキドオシ・セイヨウジュウニヒトエ)
シソ科−2 (ミゾコウジュ・ニガクサ・マルバハッカ・トウバナ)
スイカズラ科 (ノヂシャ)
セリ科 (ハナウド・ヤブジラミ・ウイキョウ)
タデ科−1 (ギシギシ、ナガバギシギシ、エゾノギシギシ、アレチギシギシ)
タデ科−2 (スイバ)
ツユクサ科 (トキワツユクサ)
トクサ科 (スギナ・イヌドクサ)
ドクダミ科 (ドクダミ)
ナデシコ科 (ウシオハナツメクサ・シロバナマンテマ・ムシトリナデシコ・オランダミミナグサ・ミドリハコベ・ツメクサ・ハマツメクサ・ノミノツヅリ)
ハマウツボ科 (ヤセウツボ)
バラ科 (ヘビイチゴ・ヤブヘビイチゴ)
ヒガンバナ科 (スイセン)
ヒルガオ科 (ヒルガオ・ハマヒルガオ・アメリカネナシカズラ)
フウロソウ科 (アメリカフウロ)
ブドウ科 (ヤブガラシ)
ベンケイソウ科 (ツルマンネングサ)
マメ科−1 (ヤハズエンドウ・ナヨクサフジ)
マメ科−2 (シロツメクサ・ムラサキツメクサ・シロバナアカツメクサ・コメツブツメクサ・クスダマツメクサ)
ムラサキ科 (キュウリグサ・ハナイバナ)
ユキノシタ科 (タコノアシ・ユキノシタ)
ユリ科 (ヤブカンゾウ・ハナニラ・ハタケニラ)
リンドウ科 (ハナハマセンブリ)
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カキノキ科 (カキノキ)
クスノキ科 (クスノキ)
クマツヅラ科 (ランタナ)
クルミ科 (オニグルミ)
クワ科 (ヤマグワ)
トウダイグサ科 (アカメガシワ)
ニレ科 (ムクノキ・アキニレ)
バラ科−1 (ヒメカジイチゴ・クサイチゴ・ナワシロイチゴ)
バラ科−2 (テリハノイバラ)
バラ科−3 (ピラカンサータチバナモドキ・トキワサンザシ・カザンデマリー)
バラ科−4 (ユキヤナギ・モモ・オオシマザクラ・ソメイヨシノ)
マメ科 (イタチハギ・フジ)
ミズキ科 (ハナミズキ)
モクセイ科 (トウネズミモチ)
ヤナギ科 (シダレヤナギ・ウンリュウヤナギ)
ユキノシタ科 (アジサイ)
ニシキギ科 (マサキ・マユミ)


河川敷の木本は大半のものが落葉樹である。
河川敷の草本は冬場に完全に消えてしまうことはなく、地面に貼りついたような姿の多年草のロゼット葉が結構見られる。他の越年草が本格的に動き出す前の寒いうちは、こうした葉物だけが目に付き、春先になると堤防の法尻辺りが、野菜畑と見紛うばかりになっているケースも見られるほどである。
葉が波打ち葉柄が目立つ特徴があるのは多分ギシギシだろう。2003年の時点では、「いずれにしてもこの手の野草は昔から好きになれず、詳しく調べる気にはならないので、その存在割合が大きいことだけを指摘するに止め、以下この特集では省略している」と嘯いていたが、2013年にこの特集ページの一大拡充を図ることにした際、「川に出たら目に入る草木の花を紹介する」ことをコンセプトとしたので、ギシギシを避けていては看板に偽りありということになる。そこで2014年にはギシギシ類に積極的に取り組むこととした。ところがギシギシ類はあまりに複雑難解で、(当初は不十分な扱いになったとしても、2014年の内には、とりあえず初回の形ではあれ掲載にまでもっていくとしていたが)、結局種分けするに至らず、例外として掲載は2015年に先延ばしとなった。
(尚、2003年にこの特集を注釈の一項として始めた時には、10年後に一大拡張を図ることになるなどとは微塵も考えていなかったので、掲載した写真についていちいち、何年何月に撮りましたというようなコメントを加えていないものが多い。あいにく2003年はPCに大トラブルがあって、バックアップしていなかった撮影原画のすべてを失うというハメに陥った。従って当時掲載した写真について今確認を行うことができない。具体的な記録は残されていないが、初回分では概ね2002から2003年に撮った写真を使っていることは間違いない。分かる範囲では追記したが、その内容は2013年以降の写真ほど明確ではない。
2003年に制作した当時の記述で詳細な説明部分は、「四季の花辞典」(麓次郎著 八坂書房)などから引用させてもらったものが多かったと記憶している。
2013〜14年に大幅に追加拡充し、新たに掲載した部分では [参考36] のページも含め、殆どの種の同定について、当地一帯の植物に詳しい古屋のり子氏にご教示頂いた。この双方の参考ページの一大拡張は、氏の不断の御協力を得て可能になったものです。その事実を記し、氏の絶大なご支援に対する感謝御礼の言葉に代えさせて頂きます。(拡張期にはそのほかネット上の、「植物雑学辞典」(岡山理科大学・波田研)、「松江の花図鑑」、「侵入生物データベース」(国立環境研究所)、「ウィキペディア」などを参照させて頂いた。 )


   [参考集・目次]